

精神科や心療内科では、向精神薬とよばれる脳内の神経に作用する薬物が使用されています。
皆さんの中には、「精神科の薬は依存症になる」とか「長期間のみ続けるとぼける」といった話をどこかで聞かれた方も多いと思いますが、こういったことは、すべて誤った情報です。
今現在使用されている向精神薬は、きびしい国の検査をパスして承認を得たものです。医師の指示どおりに服用していればとても安全な薬であり、あなたのメンタルヘルスを守ってくれる心強い味方なのです。
しかし向精神薬も薬物である以上、副作用はあります。
これらの副作用は、決して頻度の高いものではありませんが、皆さんが副作用について正しい知識をもつことは、薬物と正しく付き合っていく上で非常に重要なことです。
薬は付き合い方を間違えると毒にもなります。この講座で薬についての正しい知識を身につけて、健康な毎日を過ごせるようにしましょう。
以下に向精神薬の種類とその代表的薬剤をあげてみました。
強力精神安定剤ともいいます。元々は統合失調症の治療薬として開発されたお薬です。
統合失調症では脳内のドーパミンという神経伝達物質が過剰に放出されていることが知られています。抗精神病薬は、この多すぎるドーパミンの量を調節して脳内の交通整理をする薬です。この作用により妄想や幻覚は緩和され、不安定な気分が安定するようになるのです。
またこの薬は、焦燥感(あせり)や興奮した気持ちを抑え、精神を安定させる作用が強いので、うつ病や躁うつ病の治療薬としてもよく使われます。
抗精神病薬には昔から伝統的に使われている定型抗精神病薬と7~8年前より導入され始めた新しいタイプの非定型抗精神病薬があります。
お薬を選ぶ際は担当医によく相談する必要がありますが、一番大切なことは、自分に合った薬を見つけることです。
従来からよく使われてきた薬です。
こういった薬は長年の使用実績があり、効果もはっきりとわかっている薬です。幻聴や妄想にとてもよく効く薬です。
ただ残念なことに一部の人には強い副作用が出ます。
以下のような副作用に悩んでいる人は担当医に相談して下さい。副作用があるからといって自己判断で勝手に薬をやめてしまうようなことは絶対にしないで下さい。
頻度の多い副作用です。元々便秘がちの人は間違いなく便秘になりますので、ヨーグルトなどの乳製品を多くとったり、下剤を使って重い便秘症にならないよう注意して下さい。便秘を甘くみると腸閉塞(ちょうへいそく)になることもありますので、お通じが悪いかなと思ったら、すぐに担当医に相談するようにして下さい。
これも比較的多い副作用です。集中力の低下や反射神経がにぶくなりますので、自動車、バイクの運転は控えるようにして下さい。
唾液が出にくくなり、のどが必要以上にかわくことがあります。
生理が止まることがあります。精神薬が原因の時もありますので担当医に相談して下さい。
薬を調節すれば生理はまた戻ります。
体がかたくなったような感じになり、歩きづらくなります。よだれが止まらなくなることもあります。
じっとしていることがむずかしくなり、絶えずうろうろ歩きまわらないといられなくなります。
足がムズムズすることもよくみられる症状です。
口をモグモグするようになり、舌が出てくるようになるときもあります。
この副作用は一度なるとなかなか直りにくいようです。
薬の量が多いとけいれん発作が起こることがあります。特にメジャピンという薬でけいれん発作が起こることがあります。
まだ日本で発売されて10年足らずの薬ですが、最近はこういった薬が一番使用されるようになってきています。
従来の薬とくらべて副作用がとても少ないのがこういった薬の特徴です。
体がかたくなるパーキンソン症状や体がソワソワするアカシジアといった副作用はほとんどみられません。
副作用が少ないだけでなく、妄想や幻覚症状、不安定な気分にも従来薬と変わらない効果が期待できます。これからの統合失調症の薬物治療において主役となっていく薬です。
なおジプレキサ、セロクエルでは、副作用として、糖尿病や肥満がみられることがあります。
糖尿のある方や肥満気味の方は、基本的にはこれらの薬を服用しないほうがいいと思います。
なお非定型抗精神病薬でも使用量が多いと眠気やパーキンソン症状などが出ることがあります。
やはり従来薬と同様に副作用かなと思ったら主治医に相談するようにしてください。