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病気について大人の発達障害

大人の発達障害という言葉が流行語のように近年よく聞かれるようになっていますが、発達障害って子どもの時に見つかる病気や障害ではないかと思われている方も多いと思います。
発達障害がこのように注目されるようになった理由とよく見られる発達障害個々の症状や性質について、このページを使って皆さんにわかりやすく説明していきたいと思います。是非参考にしてください。

大人の発達障害が最近特に注目されている理由

01発達障害という概念が誕生してまだ日が浅く、最近になってわかってきたことも多いなど、この 分野についての研究が未だ不十分であること

発達障害という問題を初めて見出したのは、アメリカの児童精神科医であるレオ カナーです。彼が自閉症の子供たちのことを論文に発表したのは1943年のことであり、まだそれから70数年しか時を経ていません。発達障害のことがわかりだしてからの歴史はまだ非常に浅いのです。しかし近年、神経科学や発達心理学、認知科学の進歩が目覚ましく、発達障害に関する知見も加速度的に集積されてきています。今までわからなかった問題行動や不適応行動の背後に隠れた原因が解明されていく中で発達障害の問題が大きくクローズアップされているのです。
今、大人になって働いている人たちが子どものころは、発達障害についての理論や知見も十分ではなかったはずです。たとえ発達障害の傾向があっても教育現場では「少し変わっているけどね」程度で見過ごされてきたと思われます。それが大人になって会社でうまくいかないと「もしかして発達障害では?」ということになってきているのです。
今や職場の誰もが発達障害という言葉に必要以上に敏感になっているのが現状です。解決策としては、一人ひとりが発達障害についての正しい知識を持つことが必要です。

02IT化が進み、人が目と目を見て会話をしない、お互いの顔の見えない社会の中で発達障害の特性を持った人が生きづらくなっている。

一昔前の日本では、「向こう三軒両隣」の精神が巷にあふれ、皆で助け合って生きていくのが当たり前のことでした。この社会の絆により私たちの先祖は幾多の自然災害や戦争という困難を乗り越えてきたのです。
しかし近年、私たちのコミュニケーションのあり方にIT革命という大きな変革の嵐が押し寄せてきています。コンピュター社会は私たちに何にも代えがたい便利さをもたらしてくれました。今や部屋から一歩も外に出ることなく、買い物、食事、友人との会話、時には知らない人との交流やゲームを通しての社交など何でも出来ちゃいます。ネットを通しての仕事や起業でさえ可能な時代となっているのです。
1995年 アップル社の開発したwindows95に始まり、1998年のwindows98の発売で世の中は一変しました。IT革命の到来です。パソコンは一人一台が当たり前となり、家庭でも職場でも人は目と目を見て会話をしなくなりました。メールやLine、SNSなどがコミュニケーションの主役であり、もうお互いの顔を見ることも必要ではありません。
発達障害特性をもつ人は、相手の表情や行動から相手の気持ちを読みとることが苦手といわれます。ただでさえ苦手なのにもう相手の顔や行動は直接見えないのです。今までなら、自分を理解してくれる気心の知れた仲間の直接的アドバイスやサポートに助けられたこともあったでしょうが、IT社会ではそういった仲間の顔を見たり、声を直接聞くこともできません。仲間の助けを得にくくなったことで、元々コミュニケーションに弱みのある発達障害特性を持った人が生きづらくなり、大人の発達障害として相談や助けを求める場面が増えてきたとしても何の不思議もありません。こういったことも大人の発達障害が社会の脚光を浴びる一因となっていると考えられます。

よくみられる発達障害

01自閉症スペクトラム障害(ASD)

広汎性発達障害、アスペルガー症候群と診断されることもある広範囲にわたる症状を持つ障害です。この障害の症状の中核をなすものとして「こだわりの強さ」と「共感性の障害」がありますが、ここではこの2つの症状を中心に解説をしてみようと思います。
まずこだわりの強さですが、具体的には、興味、関心の狭さや特定の事物に対する極度の執着として表れることが多いとされます。例えば、同じ動作をエンドレスに繰り返したり、同じものを毎日食べ続けたり、毎日同じ道順で会社に行かないと落ち着かないといったことなどがあげられます。見方を変えると些細な変化にとても弱いということであり、生活状況や環境が著しく変わった時には不調に陥る可能性が高いともいえます。この障害特性を持った人は、会社に入職した、大学に入学した、知らない土地に引っ越した、結婚して環境が変わったなどといった人生の節目の時に調子を崩しやすく、うつ状態となり病院に相談に来られる場合が多いような印象があります。
次にこの障害の本質的な問題とされる共感性の障害について説明します。私たちは誰でもお母さんのお腹から生まれた直後は、自分だけの世界の中に生きているといわれます。生まれたばかりの赤ちゃんは、自分以外の外の世界を見たことがないわけですから、外の世界の存在すら知らないのです。ところがお母さんとのスキンシップを通じて、お母さんの存在に気づき、そこから関心を外の世界に向けていくようになります。最初に他者の存在を意識するきっかけとなるのは他者の視線です。視線を意識する中で他者の存在を認め他者交流をしていくようになります。幼稚園、小学校と集団生活を送るなかで子供たちは他者の表情や行動から他者の気持ちや思いを知らず知らずのうちに汲み取れるようになっていくのです。ところがアスペルガー症状をもったASDの人の場合、相手の視線や表情の変化に対して気づきが悪く、結果として相手の気持ちや思いを汲み取りづらいということがあります。こういった共感性の障害は、ASDの人が社会で生きていく中で最も障壁となるものです。障害をもつ人も周囲の人もきちんとこういった特性を理解することがとても大切です。
以上ASDの特性について羅列してきましたが、重要なことはこだわりの強さも共感性の障害も自分の弱みだということです。誰にだって弱みはあるものです。発達障害の特性があるからといって変に委縮する必要はありません。自分の弱みを理解して少しずつでいいからその弱みを伸ばしていけばいいのです。自分の特性、弱みをきちんと理解し、自分らしく仕事や趣味が楽しめるよう工夫していくことが一番大切なことだと思います。

02注意欠如・多動性障害(ADHD)

ADHDの症状は、病名が示すように注意障害、多動性、衝動性の強さの3つに大別されます。ここで個々の症状について解説していきます。
まず注意障害ですが、この症状は、ADHDの傾向のある人のほとんどの人に認められるものです。子どもの頃は、忘れ物が多い、物をよく失くす、片づけることができないということが学校の通信簿の行動記録によく書かれたりします。大人になっても不注意やケアレスミスで会社に大きな損失を出したり、仕事がなかなか終わらず残業時間が多すぎると上司から注意されたり,片づけられず家がごみ屋敷になったりと散々です。その他にも注意障害と関連する症状として、音や光への過敏さなどもよく知られた症状です。特に音への過敏症状は、周囲や環境の中のいろいろな物音を耳で拾ってしまい、目の前にいる人との会話になかなか集中できないという深刻なものです。注意障害があると2つの仕事や課題に同時進行で取り組むことが困難だったり、2つ以上のプロセスを要する仕事の計画や先の見通しを立てることも難しくなります。注意障害は仕事や日常的作業を行う上で最も問題となる症状といえます。
次に一番目につきやすい症状である多動症状について説明します。この症状は子どもの時は特に目立つ問題となる症状なのですが、大人になるとあまり見られなくなります。机にじっと座っていられず、授業中に教室内を徘徊するというのは、子どものADHD発見の契機となる典型的な光景です。この多動症状は大人になり理性が育ってくると目につきにくくなるのですが、違った症状の形をとって大人のADHDに見られることもあります。皆さんもよくするかもしれない貧乏ゆすりは大人のADHDにおける多動症状の名残といえるものです。
最後は対人関係に最も影響を及ぼすといわれる衝動性の障害について説明します。この症状は子ども、大人を問わずよくみられる症状であり、自分の思い通りにならないと我慢ができないという社会生活を送る上で大きな妨げとなる症状です。子どもの場合では並んで順番を待つことができないとか、クラスの中で要求が通らないとすぐ大声を出して暴れるなど目につく場合が多いのですが、大人になっても衝動性の障害は根強くみられます。例えば、自分の心の中で思ったことをすぐ口に出してしまい対人トラブルに発展しやすいとか、会議中に目上の人の発言を遮ってしまい気まずい空気になってしまったりして、良好な対人関係が築けず転職を繰り返す人も多いようです。この衝動性の障害は本人が意外と気づきにくい症状ですのできちんと見極めて本人の気づきを促していくことも重要なこととなります。

発達障害の治療

発達障害の治療でポイントとなるのは、自分の障害の特性をよく理解するということです。人は皆一人ひとり顔が違うように同じ発達障害を持った人でもその問題点や症状は人それぞれで違います。まずは、自分が発達障害かもしれないと思ったら、病院を受診し専門医の診察と発達障害に関する検査をきちんと受けるべきです。当院では、外来やなごみ病棟における入院プログラムの中で発達障害に関する詳細な検査と診断、その人にあった治療を受けることができます。症状が重い人や、つらい人は細かい観察のできる入院下での検査、治療を特にお勧めしております。

01心理療法

発達障害の治療は自分の障害特性を理解するところから始まります。特性を理解したら、認知行動療法、行動分析、交流分析など対人活動や個人の行動パターンに焦点を当てた心理療法を行います。どの心理療法でも共通しているのは、個人の生活の中で自身の課題を見出し、その課題を一つ一つ克服していくということです。克服していく過程で自分の弱みを強化し、自分の強みを最大限生かせるようにしていくのです。仕事においてもプライベートにおいても今よりもより良く生活できることを目指します。

02薬物療法

発達障害の治療は心理療法がメインとなりますが、ADHDに起因する症状の場合は薬物が劇的に効果を発揮することがあります。また発達障害があるとうつ病や双極性障害を発症するリスクが非常に高く、合併したうつ症状は重篤化するといわれています。その場合は症状に合った適切な抗うつ薬、気分安定薬を使う場合があります。

当院では、発達障害に関する専門的知識を有した精神科医師、臨床心理士がチームを組んでその人に合った治療メニューを提供しています。「発達障害かも?」という症状で苦しんでいる方は何なりとご相談ください。なお当院では小児科は扱っておりませんので、相談の方の対象年齢は14歳以上とさせて頂いております。

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